「うーん…」  夜中、身震いをしながら目を覚ます。 「……?」  寒いはずだ。掛け布団がない。  半分眠ったまま、手探りで布団を探す。  端っこを探り当て、それを引っ張るが動かない。 「…んー?」  仕方なく目を開けてそっちを見る。 (……うわっ!)  思わず叫びそうになって、慌てて口を押さえる。  心臓がバクバクと音を立てる。  そこには、掛け布団を巻き込んですやすやと眠る、 かすみがいた。 「……」  俺は、ツンツンと布団を引っ張ってみるが、離して くれそうにない。  …まぁ、いいか。目が覚めちゃったし。 「…幸せそうな顔で眠ってるな」  安心しきった子供の顔で、かすみは安らかな寝息を 立てている。  柔らかそうなほっぺたを指でつつくと、眉根を寄せ て手で振り払おうとする。 「…ははは」  面白がって何度もそうしていると、大きく寝返りを うち、むにゃむにゃと口のなかで何かを呟く。  それでも目が覚めないのはさすがに子供というか。 「あーあ」  さっきまで身体に巻きつけていた掛け布団は、今や 完全にはだけてしまい、足元に追いやられていた。 「だから風邪ひくんだよ、お前…」 「ん…」  ゴロンと再び寝返りをうつかすみ。  俺は苦笑しながら布団を掛けなおそうとした。  だが。  激しく動いたためにパジャマがめくれあがり、白い 肌が俺の目に飛び込んできた。  心臓の鼓動が激しくなる。  薄明かりに輝くような白い腹部。  やばい…何考えてるんだ、俺。  慌ててそれを直してやろうと引っ張ると、プチンと 小さな音がして、胸元のボタンが外れる。  その隙間に薄く色づいた小さな双丘を認めた瞬間、 俺の理性は完全に吹き飛んでしまっていた。 「…はぁ…はぁ」  息が荒くなる。  やばい。やばいって。  自分でも分かっているが、止められない。  さっきまで布団を掛けてやろうとしていた俺の手は 今は震えながらパジャマのボタンをはずしている。  全てのボタンをはずし、左右に大きくはだける。  安心しきった顔で眠るかすみ。  規則正しく上下する胸の頂点のかすかな突起。  俺はその誘惑を振り切ることができない。  そっと顔を近づけて、そこに唇をつける。 「……!」  頭の中が真っ白になる。  立ちくらみのように上下左右の感覚がない。  舌が探り当てる小さな突起。  強く吸いそうになる自分をかろうじて押さえて、俺 は唇を離す。 「…はぁっ、はぁっ」  俺の唾液にまみれた乳首は、心なしかさっきよりも 色を強めているように見えた。  頭がクラクラする。  自分が何をしているのか、分からなくなりながら、 俺の手はかすみのパジャマのズボンにかかる。  小さく膨らんだ股間をそっと指でなぞり、お尻の方 からパジャマをずらす。  荒くなる呼吸はもう抑えようもない。  最後に残った白いショーツに指を掛ける。  甘酸っぱいかすみの匂いが、俺をますます狂わせて いく。  俺は震える指でショーツをゆっくりと下ろし… \ 「うわあっ!」  がばっと起き上がる。  心臓がバクバク音を立てる。  俺はゆっくりを周りを見渡した。  ……。  夢、か?  緊張が解けて、再び布団に倒れこむ。 「…よ、よかったぁ、夢で」  俺は心からそう思った。 「……あ」  心は確かにそう思っていたが、身体の方はそういう わけにもいかなかったようだ。 「んだよ、もう…だから、やばいんだって…」  俺は布団にもぐりこみ、痛いほど固くなっている股 間に手を伸ばす。  どっちにしろ、このままじゃおさまりがつかない。 「く…」  早く終わらせようと、素早く手を動かす。  しかし、快感が背筋を駆け上ってきた瞬間、脳裏に 夢で見たかすみの裸体がフラッシュバックした。 「うわ…!」  その映像を追い払おうと頭を振る。  だけど、手の動きを止めることはできなかった。 「うっ…」  いけないと思えば思うほど、頭の中はかすみのこと で一杯になっていく。  何度も抱きしめた細い肩。  指からこぼれるようなサラサラとした長い髪。  鼻をくすぐる甘酸っぱいような体臭。  俺を見上げる涙で潤んだ瞳。  背中や腹が感じたまだ固い蕾のような小さな乳房。 「ああ、かすみ…かすみっ…!」  その折れてしまいそうな細い身体を、この指で愛撫 して、薄桃色に染めたい。  きっとかすみは羞恥にか細い声をあげるだろう。  戸惑っているかのような声が、抑えきれない快楽に 甘く尾を引くまで、俺は愛撫を続けよう。  恥ずかしがるかすみの脚を無理矢理大きく広げて、 その中心を執拗に責めたてて。  まだ未発達なクリトリスを舌で転がし、誰の目にも 触れたことのないその部分が淫らに蜜を滴らせるまで 何度でもかすみをイかせてあげたい。  生まれて初めて感じるオーガズムに、荒い息をつく かすみの髪を撫でながら、少しずつ俺のペニスを埋め 込んでいきたい。  いや。いっそ一息に貫いた方が楽かもしれない。  痛みに弱々しく身体を引き攣らせながらも、かすみ は悲鳴などあげずに、けなげに耐えるだろう。  その震える身体を強く抱き締めて、激しくかすみの 中を貪りたい。  破瓜の血にまみれたペニスが膣を出入りするさまを 鏡に映してかすみに見せつけながら、羞恥に染まった 顔をうっとりと見つめたい。  俺の激しい抽送にこらえきれず苦痛の声をもらしな がら、きっといつものように俺を呼ぶだろう。  お兄様…と。 「くうっ…!!」  腰に甘い痺れが走る。  ペニスがビクビクと脈打ち、限界が近いのを告げて いた。 「かすみっ…!」  俺はその名を呼びながら、激しくあふれだす精を、 ティッシュペーパーに吐き出した。  その途端、俺を途方もない後悔が襲う。  俺は…俺はなんてことを。 「かすみ…」  もう一度小さくその名を呼ぶ。  罪悪感に胸が締めつけられる。  俺は、かすみを汚してしまった。  よりにもよって、兄であるこの俺が。 「……最低だ、俺」  俺は枕に顔を埋め、自己嫌悪に苛まれながら、悶々 と夜明けを待った。