なぜか不意に目が醒めた。  月の光に青く浮かび上がる天井  風が木々を揺らすかすかな音。  いつもの夜。普通の夜だ。  だが…この違和感はいったい何だろう? 「お兄様…」  急に声をかけられて、心臓が止まりそうになる。  闇に溶け込むように、ベッドの脇にかすみが立って いた。 「…夜中だぞ。自分の部屋へ帰れ」  俺はどぎまぎしながら、壁の方に寝返りを打つ。  こんな時間に、かすみとふたりきり。  俺は、自分を抑える自信がなかった。  だから、わざと顔を見ないように背中を向けた。  だが。 「どうして…急に…冷たくするんですか」  ギシッ。  ベッドが軋むと同時に、月明りがさえぎられる。 「もう、わたしのことが嫌いになったんですか…?」  漆黒の影が、俺の視界をふさぐ。  何が起こっているのか、分からない。  いや。本当は…分かっていた。  ただ、分かりたくないだけなんだ、俺は。    ゆっくりと顔を上げる。  かすみは壁に手をつき、覆い被さるようにして俺を 見下ろしていた。 「かすみ、お前…」  なだらかな肩の線。  頼りないような細い腕。  金色に輝く産毛。  まだ幼さを残した腰のライン。  月の光を逆光に、くっきりと浮かび上がるかすみの シルエット。  それは、明らかに、何も身につけていない者のそれ だった。  どくん。  心臓が踊り出す。 「お兄様…」  かすみの顔が近づいてくる。  …駄目だ。俺たちは兄妹なんだ。  こんなこと、許されないんだ。  俺は口を開いて、そう告げようとした。  だが、唇は動くのに、声が出ない。 「愛してます、お兄様…」  かすみの舌が、俺の唇に触れる。  そしてそれは、声を出そうとして開いた俺の口の中 に、するりと進入してきた。 「……!」  目がくらむようだった。  それは、あまりに甘美な感触だった。  ピチャピチャと音を立てながら、かすみの舌は俺の 歯をなぞり、唇に触れ、舌と絡み合う。 「かす…み…、やめ…」  必死に声を出そうとしても、それはふたりの唇の間 でくぐもって消えてしまう。  心では駄目だと思っているのに、下半身が熱を帯び てくるのが自覚できる。 「ん…」  ようやくかすみの唇が離れた。  俺は荒い息をつきながら、呆然とかすみを見る。  かすみはじっと俺を見つめながら、細い指で俺の胸 をなぞり、パジャマのボタンをはずしていく。 「う…」  裸の胸にかすかに触れる、かすみの指先。  ゾクゾクするようなその感覚に、俺の思考は麻痺し てしまうそうになる。  思わず目を閉じて、流されてしまいそうな自分の心 と闘おうとしたその時。 「あ…!」  身体に電流が走った。  かすみの舌が、俺の胸を這っていた。    それは俺の首筋から胸の筋肉に沿って移動し、乳首 で円を描くように滑る。  淫靡な水音を立てながら、執拗に舌が動き、柔らか な唇が吸いついてくる。 「くっ…やめろ…」  無理矢理にでも、払いのけてしまえばよかった。  だが、快感に支配されつつある俺の身体は、自由に 動かすこともできず、無様に震える腕でシーツを掴む のが精一杯だ。  かすみが身体を起こす気配がしたが、それを確かめ ることすらできずにいた。 「お兄様…もう、こんなに…」  その言葉に、かあっと頬が熱くなった。  かすみの手がパジャマの上から俺の股間を撫でる。  自分の意思とは関係なく、かすみの手の中でペニス がビクビクと脈打っていた。  自然と息が荒くなり、頭の中が霞がかかったように 朦朧としてくる。  ギシッ。  ベッドが軋んだ。 「お兄様…」  頭のすぐ上からかすみの声が降ってくる。  俺は熱い息を吐きながら、うっすらと目を開けた。  すぐ目の前に、差し出されるかのように、かすみの ささやかな双丘があった。  薄いピンク色の乳首が俺の唇のすぐ近くで、ツンと 尖って誘っている。  かすみはゆっくりとかがみこんで、だらしなく開い ている俺の唇に、その小さな膨らみを押し付ける。  かすみの薄い胸は、それでも充分な柔らかさで、俺 の顔を包みこむ。  俺はほとんど反射的に、口の中に進入してきた乳首 を舌で転がし、吸いたて、軽く歯を立てた。 「あっ…ああんっ…!」  かすみが甘い声で鳴く。  俺の唇の中で、頼りないような柔らかな突起でしか なかったかすみの乳首は、いまやはっきりとその存在 を誇示していた。 「あ、いや…そんなに吸っちゃ…ああっ」  切なそうに喘ぐかすみの声が、俺の理性をどんどん 奪って行く。 「……かす…み……かすみっ!」  もう、なにも考えられない。  俺はかすみの薄い身体を抱きしめ、あらゆるところ に口づけした。 「あっ、あっ…ダメ、ダメですうっ、お兄様ぁっ!」  俺の唇がかすみの脚の間の敏感なところをついばむ と、かすみは泣き声を上げながら腰を震わせて、軽く 達したようだった。  口の中にどろりとかすみの愛液が流れてきて、俺は 音を立ててそれを吸った。 「あっ…いや、恥ずかしい…」  腰をよじって逃げようとするかすみを抑えつけ、膣 から愛液を掻き出すように舌を差し込む。 「あっ、そんなっ…あっ、あっ、あーっ」  かすみの腰が再び痙攣し、膣の中がうねりながら俺 の舌を締め付ける。  口の中に新たに湧いて出た愛液が流れこむ。  雌の匂いとなんともいえない舌を刺すような味が、 俺の頭の芯をますます痺れさせていた。  俺は貪るように舌を動かし、かすみの中を味わう。  いまや五感のすべてが、かすみで満たされていた。  荒い息遣い。甘酸っぱいような匂い。  柔らかくすべすべした肌。  とろけるような柔らかさ。  うっすらと浮かぶ汗はかすかに甘く、塩辛い。  そして。 「お兄様…わたし、もう…」  訴えかけるような、潤んだ瞳。  俺を見つめながら、その手が俺のパジャマのズボン にかかる。  痛いほどに勃起しているペニスが、ズボンの布地を 強く押し上げており、すんなりとは脱げない。 「お兄様も…濡れてます…」  かすみがズボンの上から亀頭の部分をさすり、布地 ごと口に含んだ。 「う…っ!」  かすみの口の中で、ペニスがビクビクと跳ねる。 「ん…少し苦い…です…」  かすみは口を離して、トランクスも一緒にするりと ズボンをずらした。  ズキズキするほど熱くなったペニスに、かすみの指 がひやりとした感触をともなってまとわりつく。 「すごい…お兄様の…こんなに」  かすみは、そのまましごくように上下に手を動かし 始めた。 「う…あ…やめ…」  下半身に甘い疼きが走る。  今にも爆発してしまいそうだ。 「あ…ビクビクって…んむっ」 「!!」  かすみの頭が、俺の股間にかぶさる。  柔らかく温かな粘膜に亀頭が包みこまれる感触に、 思わず情けない声が漏れた。 「う、ああっ…か、かすみっ…!」 「んっ…んふ…ん…」  かすみの頭が上下に動く。  縦横無尽に動きまわる舌が、ピチャピチャといやら しい水音を立てる。  腰が勝手に動き出すのを止めることができない。  かすみの喉の奥を突きそうになるが、かすみは平然 と受けとめ、執拗に舌を這わせ、吸い上げる。 「だ、だめだ…かすみっ…もう…!」 「まだ…我慢して下さい…」  かすみはペニスの根元をぎゅっと握って唇を離し、 艶然と微笑む。 「……え?」  俺は快楽に酔った頭で、ぼんやりとその顔を見た。  かすみは微笑んだまま、俺の腰をまたぎ、ペニスに 手を添えてゆっくりと腰を落とす。 「ん…ああっ…お兄様の…お兄様のがっ…!」  自分のペニスがかすみの中に飲み込まれていくのを 俺は呆然と見ていた。 「ん…ふ…ぜんぶ…入っちゃいました…」  にっこりと笑うかすみ。  俺の上にまたがるかすみの幼い性器が、俺のペニス を根元まで咥えこんで、大きく開かれている。  それは、ある意味とてもグロテスクな光景だった。  俺はこの時になって初めて、自分がとんでもない事 をしているのを冷静に自覚した。 「か、かすみ。だめだ、俺たちは、こんな事をしちゃ いけな…」  慌てて起きあがろうとする俺の唇を、かすみのそれ がふさぐ。  舌を絡めながら、かすみは俺の手を自分の胸に誘導 してきた。  かすかな膨らみは、それでも確かな弾力をもって、 俺の指の間で形を変える。  抵抗できないほど魅惑的なその感触に、俺の理性は 再び封印されそうになる。 「お兄様…お兄様っ…」  かすみがうわごとのように呟きながら動き始める。 「う…うわ…!」  絡み付き、うねり、絞り上げるかすみの膣の動き。 「あんっ、あんっ、いいですっ…すごいの…」  嬌声をあげて、かすみは激しく動き続ける。  ……妙だ。  これではまるで…淫乱じゃないか。 「ああっ、いいのっ、気持ちいいの…もっと、もっと 動いてぇっ…!」  俺の上で、熱に浮かされたように喘ぎ腰を振る少女 の顔をじっと見る。  上気した頬、トロンとした媚びるような目つき。  いやらしく半開きになった唇から、ピンク色の舌が 誘惑するかのようにのぞく。  まさに淫売…娼婦の顔だった。  顔のつくりは確かにかすみのものだが、俺の知って いるかすみとは明らかに違っていた。  そうだ。かすみじゃない。  これは、俺の妹のかすみじゃない。  急速に頭の中がクリアになった。  つまり、これも…夢だ。  この娼婦のかすみは、俺の願望が作り出したもの。  どう扱っても構わない。  それを認識した途端、俺の中の残酷な部分が、頭を もたげ始めた。 「あ、ああっ! お、お兄様っ、痛いですっ…もっと 優しくしてくださ…」 「黙れよ、淫乱」 「きゃあっ…!」  限界まで足を開かせ、乱暴に突き上げる。  いつのまにか、俺の手には、凶悪な形をした巨大な バイブレーターが握られていた。  さすがに夢は便利だ。 「あ…そんな、無理…」  泣き声を上げるかすみのアナルに、無理矢理それを ねじ入れた。 「きゃあああっ!」  悲鳴が耳に心地いい。 「あ…いた…痛いっ…! やめ…動かな…ひいっ!」  逃げようとするのを捕まえて、ケツを何度も何度も 激しくえぐる。  引き抜いたバイブには、血と排泄物が絡みついて、 悪臭を放っていた。 「う…ふぐっ…!」  俺はそのバイブをかすみの口に突っ込んだ。 「うー…!」  涙を流しながら、それを吐き出そうとするかすみを 冷たい目で見下ろしながら、俺は口の中を乱暴に掻き 回す。  そうしながらも腰の動きを速めていくと、かすみの 膣はぐいぐいと俺のペニスを締め付ける。 「ははは。感じてるんじゃないか、この淫売が」  俺は大声で笑いながら、なおもかすみの口と性器を 犯し続けた。  メチャクチャに動かしたせいで、口の中も切れたの か、かすみの唇から血が流れ落ちていた。  俺は無我夢中で少女の身体を貪った。  そして、何度も膣の中に精を放った。  いつのまにか、かすみの身体からは力が抜けていて 何の反応も返さなくなっていた。 「…ふさけるなよ、おい。しっかりと腰を振れよ」  かすみはぼんやりと薄目を開け、俺を見るが、また すぐに目を閉じてぐったりと動かなくなった。  その青い顔は、まるで俺のよく知っている、俺の妹 である、あのかすみのように見えた。 「…ふざけやがって」  冗談じゃない。こんな女がかすみなものか。 「起きろよ。さっきみたいに喘ぎまくれよ」  ゆさゆさと身体を揺さぶる。 「う…お兄様…」  脅えたような目で、消え入りそうな声で、俺を呼ぶ かすみ。  違う。違う。違う。  これはかすみじゃない。  かすみじゃない! 「違うっ、お前は違う、お前は違うんだっ!」  細い首。このまま強く握ると折れてしまいそうだ。  指にドクドクと血が流れるのが伝わっている。 「おに…さ…ま…」 「そんな風に呼ぶな! そんな目で見るな! お前は かすみじゃない、絶対かすみなんかじゃない!」 「……」  かすみの腕がだらんと垂れ下がる。  どさっ。  手を離すとかすみはシーツの上に崩れ落ちた。 「はぁ、はぁ、はぁ…」  冷たい汗が額を、背中を流れ落ちる。  かすみは目を見開いたまま、凍りついたように動か ない。 「…なんだよ」  軽く足で蹴ると、そのままベッドから転げ落ちた。  不自然な方向に腕が捻じ曲がっている。  とても生きているようには――。 「う…うわあああああああ!」  俺はベッドから跳ね起きた。  汗でパジャマがべったりと背中に貼りついていた。  俺は夢の中で、これが夢だと分かっていた。  なのに、心臓はドキドキと激しく音を立てる。    手にはかすみの首を締めた感触がまだ残っていて、 俺は確認するためにベッドの周りを見まわした。  もちろん、誰もいない。  俺はほっとして、ベッドサイドの明かりを点けて、 震える手で煙草を探す。  やっと見つけたパッケージは、空だった。  俺はそれを握りつぶし、イライラと買い置きを探し まわったが、どうやら残っていないようだった。 「…くそ」  どうしても、今すぐ煙草が吸いたい。  しかたなく俺は起き上がり、そっと部屋を出た。